この度、第16回国際放射線神経生物学会大会を、2027年2月27日土曜日に自治医科大学で開催させていただくこととなりましたことを、大変光栄に存じます。
私は大学院時代からの1990年代には脳腫瘍細胞の抗癌剤耐性の分子機構についての研究をしておりました。抗癌剤投与による脳腫瘍細胞における分子レベルの変化を見ていたわけですが、放射線による同様の研究も行われており、興味を持っておりました。2000年以降は仕事の対象が小児患者になり、様々な小児神経外科疾患を数多く担当しました。中でも小児脳腫瘍患者について数多く担当し、特に治療法の発展により徐々に増加してきた長期生存例についての晩期合併症にも取り組むようになりました。そうすると、抗癌剤や放射線治療によって、培養細胞ではなく、実際の患者さんの脳で様々な影響が起きていることを目の当たりにすることになりました。
放射線治療について言えば、私が脳腫瘍治療を始めたころはまだコバルト照射でした。その後X線治療になり、3次元照射となり、強度変調回転放射線治療や定位照射に発展し、粒子線照射技術等もふくめ高精度照射技術の発展でより根治的な治療が可能となっています。技術の進歩によって、正常中枢神経組織への影響は少なくなってきたとは思いますが、照射後の急性期から晩期まで様々な時期に発症する有害事象について、その詳細なメカニズムは未だ明らかとなったとは言えないと思います。
本大会には、今回副大会長をお願いしました白井克幸先生が、自治医科大学本院の放射線治療科に就任され一緒に治療をするようになり、お誘いを受けて2022年に始めて参加しました。コロナ禍の影響でオンライン学会でしたが、参加してみると第一線で活躍されている放射線腫瘍医・神経放射線診断医・脳神経外科医・脳神経内科医と、高い専門性を持った神経生物学者・放射線生物学者の先生が参加され、興味深い発表ばかりで、まさに「目から鱗が落ちる」思いでした。
このように多様な知が集う学会はとても貴重だと考えており、今回「多様な知が放射線神経生物学の未来をひらく」という文言を加えさせていただきました。それぞれの分野の異なる視点から同じ問題を考えることで見えてくる新しい世界があると信じております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
令和8年8月吉日
第16回 国際放射線神経生物学会大会
大会長
五味 玲
自治医科大学 医学部 客員教授
0歳からの頭のかたちクリニック東京日本橋 院長